1月21日と、その向こうに向かって

言葉にならないのではありますが、無理に言葉にしてみようと思います。


まずは、有安杏果さん、お疲れさまでした。
卒業、引退という決定に到る道程について、本人以外は何も言う権利はなく、ただその決定を受け入れるのみであります。
これまでの全てに感謝を込めて、送り出したいと思います。


昨日、気の置けないノフと飲んでおりました。
いろいろ考えを自分でも整理していました。
整理出来るわけはないのだけど。整理しても、それはまた現在進行形の中ですぐ陳腐化するのだけれど。


Twitterでも書いたけれど、
それ以外の場でも公言してきたけれど、
僕は2014年の国立で『ももいろクローバーZ』は終わるべきだと思っていました。
それでも、メンバーは、このまま『ももいろクローバーZ』を続ける道を選んだ。
僕はそれを受け入れまいした。
これから、メンバーは成長していく。
恋愛、結婚、出産、離婚だってありうる(一応、可能形で書いておきます)。
まぁ、そういうのをどう受け入れて、反応していくのかな、とずっと考えていた。
メンバーの、そういう「成長」とも呼びうる変質に、ファンがとことん付き合っていくという未来、どうなるんだろうね、と考えてきました。
ただ、メンバーが抜けることだけは考えてなかった。
だから、虚を突かれた感じだということはその通りです。


最初はスタダを責める気持ちが強かったのだけれど、そこはまぁいいかと思います。
そこは封印して、話を進めます。
メンバー構成が変わることが、続けるべき『ももいろクローバーZ』を途絶えさせることになることくらい、メンバーも、スタッフも、関わる全ての人がわかってると思ってたから。
それで、なお有安さんが「無期限休止」ではなく、「引退」という形を選んだことの重さがのしかかります。
そこについては有安さん自身のコメントがあるので、彼女視点からのその違いも、意味もよくわかります。
0歳からずっと芸能界にいたわけだし。違う風景を見たいと思う気持ちは、僕たちにはわからないほど、大きいのでしょう。
彼女自身が「我が儘」と繰り返していたのを聞いただけで、ファンとしては、まぁそれにどうこう言ってはいけないとわかってはいます。

それでもなお、そう彼女に選択させたのは何か、とは考えざるをえない。
スタダだけではなく、これは全モノノフの敗北なのかもしれません。

封印を解いてスタダを責めるだけなら、結論は簡単です。
クラウドファンディングでもなんでもして、ももクロをモノノフの手で買い取ればいい。あの5人が5人として自由にやっていける環境をモノノフの手で用意すればいい。グループ名が使えなかろうが、なんだろうがそんなものはどうでもいい。あの5人の茶番が存在する場所をモノノフの手で作ればいい。
でも、そういうことではない。
スタダもモノノフもすべて込めて、有安杏果ももクロの一員でいてほしい人たち全ての敗北かもしれない。
引き留めなかったとか、引き留められなかったとか、そういうことではなくて。
有安杏果に、疲れたら一休みして、また戻ってくればいい、と素直に思ってもらえなかった、思いついてもらえなかった、という意味において、です。

僕は、モノノフは若い女性であるアイドルをそのまま受け入れ、変化しながら、共にあるいていける集団だと思っていた。
というか、その苗床となっていた日本社会に、それを提示できたのだと思っていた。
それは、カリスマ的アーティストを崇める関係性ではないアイドル生態系の中において、残滓としてある疑似恋愛を乗り越えられる可能性だった。
けれども、可能性はまだ可能性に過ぎなかった。
それをしっかりと受け止めたい。
これは敗北です。


そして、この『ももいろクローバーZ』は、ここでお終いです。
一つには、早見あかりより、青推しには申し訳ないけれど、明らかに楽曲パフォーマンス上、圧倒的に存在の大きかった有安杏果を抜きにして、歌い、踊れる楽曲はあまりに少ない。
また、僕は、この5人のミニマムで完成された関係性が好きだった。だからこそ、メンバーが替わったら、この構図は維持できない。
従って、改名しようがしまいが、この『ももいろクローバーZ』はここでお終いです。
すばらしいコンテンツでした。最後が少し唐突すぎたけど。


さて、ここで僕は二つにわかれます。
一つは、『アイドル』を、社会構造のある表象として考える者として。
この敗北の向こうに、まだ『アイドル』現象の向こうに、水平構造への引力に引きずられる社会の可能性をまだ求めるのか、という問いがあります。
ならば、『可能性』を次、どこに見出すのか、という苦悶があります。
それは、ちょっとゆっくり考えたいですね。

もう一つは、一人のモノノフとして。
有安杏果の脱退で、かなり変質するももクロにどう付き合うか。
ももいろクローバーZ』の次に生まれるそれに、どう向き合うか。
商店で商品を選ぶ消費者のように、手に取るものを変えるという可能性を、僕は否定しないです。
でも、クローバーの葉の数になってしまったこのチームを、支え続ける可能性も、僕は否定しない。


少し時間はほしいですが、
そのうち僕の顔の向け方は自然にわかると思います。
今は、無理に自分をどっちに向けるという気は無いです。
自然にいきたい。


そして、明らかに僕の2010年代の半分以上を彩ってくれた『ももいろクローバーZ』に心からの賛辞と感謝の言葉を。
国立の一面が緑色の野原に変わっていったあの3.15を、僕は絶対に忘れない。
2012年の夏、まだコールもお約束もよくわからない僕が鳥肌たった、あの『世界のももクロNo1!」を、僕は忘れない。
もちろん、2013年のももクリで、あーりんにもらったテヘペロ+ウィンクも生涯忘れませんよ(笑)。
心からありがとう、ももいろクローバーZ!



さぁ、朝が来ます。
また、新しい日常が始まります。
僕も生きていくし、
メンバーもまた生きていくし、
日本でも、世界でも、人々は生きています。



仕事、しますね。