日々是雑感

いやはや、赤ん坊の世話をしながら、仕事しながらのブログ更新はなかなかしんどい。そんなに時間を無駄にしているわけでも、ましてや遊んでいるわけでもないんだけどなぁ・・・などと結構真剣に思いながら、一週間ぶりでブログを書くわけだ。



話題、1。ちょいと遅ネタでしんどいが、「仮面ライダー」が、やはり、熱い。「仮面ライダー・The First」がまず、熱い。デザインは、個人的には文句ない。敢えて言えば、二人の主人公のうち、ボンボン顔が1号で、精悍顔が2号というのは、オリジナルにあわない!とは思うが。ただ、スーツのデザインは秀逸だもんね*1。さらにいうと、オリジナルサイト著作権表示がよい!「当サイトの画像、文章等、全ての内容を著作権法の定める範囲を超えて無断で複製、転載、ファイル化することを禁じます。」というのは、これを「無断での複製、転載、ファイル化はダメだけど、それも所詮著作権法の範囲でしか主張できないってことよ」と読むか、「無断での複製、転載、ファイル化は、著作権法の範囲で言える範囲は全部ダメだよん」と読むかによってややニュアンスは違うのだけど、少なくとも、自分の言える範囲に限界があるんだよな、と自覚しているあたりが襟を正していて好感が持てる。これで、許諾を得ないでも使える範囲を一部設定してくれたり、或いはせめて許諾窓口と標準的許諾条件なんかをリンク張って書いていてくれたりすると、お兄さん*2的には拍手なんだが。



話題、2。そいで、次に熱いライダーは「仮面ライダー響鬼と7人のライダー」だ。僕もネットでの記事を見ていて知ったのだが、テレビでは全国47都道府県にそれぞれ一人のライダーがいるらしい*3。いや・・・、いいんですけどね。なんか合わないんすよ。だいたい、行政区分なんて思いっきり人間社会の都合じゃないか。廃藩置県前の藩は数百あったし、別に今、都道府県がそれだけあってもいい。そいでもって、好きかどうかは別にして今度のライダーはある種超自然なライダーなわけだから、その数がなぜ徹底的に人為的な行政区分の数に合うのかという辺りに違和感を感じるのだよ*4国土庁勤務時代以来一貫した道州制支持派である僕としては特にこの47って数字が癪なんだ・・・って、あぁ、だから映画は「7人のライダー」なのか。これは「道州制」への布石なんだね!



話題、3。MSがBittorentの後継技術を開発しているという報が流れるDRM付きP2P型ファイル供給の重要性については3年以上前からいろいろ叫ばれていた。仕事柄、いろいろなコンテンツ事業者と会う機会があるが、その中でほぼ常に悪者扱いされるP2P。本当はP2Pはインターネットのパケット交換方法そのもののようなシステムレベルのものとWinnyのようなユーザレベルのものとに分けるべき*5で、P2Pそのものはある一定の条件下ではとても効率がよい流通方法であることは事実だ。ある論者*6は、国がインフラとしてユーザレベルのDRM付きP2Pファイル交換システムの必要性を指摘する。確かにそうかもしれない。それは、ユーザレベルのP2Pがあってあらゆる情報は共有されるのだから著作権という考え方を止めろ、というよりもよほど妥当な解に思える。しかし、そもそも裸のコンピュータにアプリケーションレベルでのDRMを載せることはどれほど意味があるんだろう?
 僕は、そんなお行儀のよい仕事は情報家電みたいなものに任せて、PCを含めた裸のコンピュータはもっと自由な仕事に専念させた方がよいと思う。PCをお行儀よくさせたいMSやその他のベンダーの仕事は技術的には尊敬に値すると思うが、それがコンピュータ自身を不自由にしていくという面に危惧をする。レッシグが言うCODEという権力のあり方は、少なくとも有力ベンダーに依存してPCを使わせてもらっている僕ら一般ユーザであれば認めざるをえない*7。しかし、そこには選択の自由があるわけで、そんなOSは買わない*8、そんなアプリは使わない*9、そういうことがPCならできる。そういう意味で、PC上で実現されたDRMとはある種のまやかしに過ぎない*10。ユーザがOSを選択でき、アプリを選択できるマシンにDRMはありえない。そして、ユーザにOSを選択させず、アプリを選択させないというなら、その機械は多機能携帯電話であり、情報家電としか呼びようがないものになるだろう。だったらそれは別の種類のマシンにしてほしい。PCをそうしようというのは、コンピュータというものそのものの死、或いはやや弱くいってもそのあり方の根本的変化を意味するのではないか。コンピュータ自身の進化を期待する者として、そういうのは嫌だな。



話題、4。最近、慶応大学での講義の後、よくマンガ談義をしている*11。それで、日本のマンガの中にある、<絶対の正義に反乱する正義>という考え方、或いは<多元主義志向>によく言及することになっている。それは、「デビルマン」、「百億の昼と千億の夜」、「イティハーサ」などのSF作品に顕著なんだけど、それを僕は日本の多神教的思考法と説明する。というか、より正確には日本のそうした志向性の方がおそらく自然で、西方社会は一神教に浸るうちに世界観の中におけるそういう思考法をタブー化されたのではないかということだ。このことは、今年夏のコミケで出すだろう「蔵出しvol.2」*12の中で書くことにしたいと思う。


 仕事は山とある。言えないことは山とある。あ〜ん、守秘義務ってやつぅ?



.

*1:アゴの処理に若干の違和感はあるのだが、たしかオリジナル1号マスクもアゴデカだったはずだし、第一「バッタ」なんで、OK。

*2:「オジサン」と読んでもかまいません。

*3:人口が多い東京と広い北海道は東西にわけて・・・って、甲子園かい!おい!と突っ込みたくなりますが。

*4:例えば、政府が極秘に開発した国土防衛システムによって生み出されたライダー・・・なんて設定だったら、各都道府県に配置した出張事務所毎にライダーがいるから47人と言われても不自然な気はしない。政府の政策で生まれたライダーという点は別にすればだが。

*5:システムレベルとユーザレベルの本質的な差違は、P-to-Pの対象となる情報をユーザがコントロール可能かどうかにある、と僕は考えている。インターネットのパケットシステムではそのパケットがどんなファイルの一部かを判別するのは難しいし、それを全部コピーしても別のルートで流れているパケットがあるかもしれないからファイル全体を復元するのは難しい。一方、Winnyのようなファイル共有ソフトでは、その対象となるファイルはユーザの手元にあるか、或いはファイル共有の輪に入っている内に自分の手元に残るようにできる。ちょっと比喩的だが、後者はユーザの意識行為、或いは有責行為、後者はユーザの無意識の行為、或いは回避不可能行為といえるかもしれない。

*6:例えば、経済産業研究所の澁川研究員など。

*7:「認めざるをえない」っていうのは、それを止められないってことです。それがいいと是認しているのではないけど。でもさ、それが嫌ならLinuxでもなんでも使えばいいでござんしょ?ま、Linuxといえでも、いやいやどんなOSSも、それが特定企業の戦略かどうかは別にして、MSWindowsやMacOSと同様にCODEの温床ではあるんですがね。それも嫌だってなら、あーた、自分でOS書きなさいよ、ってこと。

*8:それは例えばMSWindows2000のようなものを使うという意味なんだが。

*9:例えばwinnyを使い続けるとか。

*10:一つには、それをハックするアプリなんていくらでもできるよ、という意味で。もう一つは、それはあまり普及しないという意味で。

*11:立ち話はなんだから、今度は授業でやりましょうか。

*12:境がコミケで出す同人誌の名前。最近、職場で「要はコンテンツ産業の考え方ってなんだ?」と言われることが多く、その時、昨年夏に出した「蔵出しvol.1」を読んでくれといって渡すことも間々ある。でも、実はvol.1は結構バランスが悪いのだよね。だから、今年は「コンテンツ産業の基礎理論」を、教科書でも書くつもりで書いてみようかと思っている。