テレビの明日


 年賀メールの返信に、あるテレビ業界内の方からこういう返事があった。

「オンデマンドがついに始まり、テレビの化けの皮がはがれるのも秒読みです。
『テレビよ、お前はただの現在でしかない』
この有名な言葉は、視聴者や視聴率に向けられているものかもしれません。」

 名言。そのとおり。

 だが、何事も過大評価→過小評価→再評価と進むものだ。「化けの皮がはがれ」た後、テレビというメディアの力は再評価される。問題はそのときのテレビの評価がこれまで同様の地位を占めるかどうかである。
 天秤は、テレビは返り咲くと思っている。
 ・・・ただ、もちろん、今のままではないけれど。

 その流れを見越しながら政策を打つということは難しい。
 なぜなら、見通しに確信がもてればもてるほど、人は変わらぬ手立てを講じようとするものだから。しかし、それでは本来世の中が得るべき経験を不十分なものにしてしまう。かといって、過小評価の行き過ぎを看過して次の揺り返しが起きないほどにしてしまうのも問題。だいいち、そんなことを業界内の人に気取らせて、国や世の中がだまされたりする事態になったらもうダメダメ。
 だから、あえて時に添い、時に応じて豹変するしかない。一見すると不見識で、今しか見えていないように思えることを、そうした批判や、何より自分の内なる声に耐えて、あえてする。簡単ではないね。

 テレビの化けの皮ははがれる。しかし、見てみろ。テレビは返り咲く。
 だいたい、この指摘をしている人物自身がテレビの中にいるのだから、その真価はわかるじゃないか。