有料をうまく回すには

 いつものスラドで、有料サービスをどうまわせばいいのかという記事があったので反応してみる。
 みなさんやや忘れたかもしれないが、一つのきっかけは昨年末にあったカフェスタからユーザーへの有料化の御願いであった。これは至極もっともなことだ。
 インターネットは右肩上がりに進んできたからあまり気がつかないかもしれないが、ネット上のあらゆる事象は経済原則にやはり従っている。広告費一定の原則によればネット広告の伸びにはかなり近いところに限界があり、パレートの原則によってかなり不均衡にそれは分配される。ムーアの法則とネットの規模の経済性でサービス供給費用は下がっているとはいえ、やはり限界はあり、中堅以下のサービスでは状況は厳しい。収入が支出を上回れなければ、そのサービスは消滅するしかない。
 もう一つ事情を考えると、そういう中でも、これまでややゆるい成長期待を金融市場で現金に換えることで、幾多のサービスが世に生まれてきた。しかし、彼らは、この経済危機による金融市場のシュリンクによって、いまその期待を現金に換えて差し出せといわれている。それをついにツケを払う日が来たかと評価するかは別にして、こういう錬金術でなんとかできるわけではないという時合いなのである。
 まぁ事業者が有料化を呼びかけるというのは珍しくはあるが、コミュニティ性の強いサービスならば十分ありえる手ではある*1。大事なことは、広告費依存でネットのこの広範なビジネス行為の総体を維持することは困難そうだということだ。
 というわけで、有料化が重要なテーマなんだけど、結論から言うと、多分、キャリアかISPを通じた「ベーシックサービス」*2の導入が一番まともじゃないかと思う。いまさら「公式サイト」かよというかもしれないが、継続的支払い行為がそもそもあるところから配分を受けると考えないと割が合わない。いくつものネット上のサービスのためにいちいち支払い行為をバラバラ行うと考えるのは、かなり無理がある、と天秤は思うからだ。
 という話をこないだある業界の方としていたら、ソフトバンクが携帯用にこういうサービスを始めたらしいと聞いた。
 うん、それでいいじゃんか。

*1:それはWarm Moneyが成立し得るからなんだが、本当に成立するかどうかはやってみるしかないね。アーティストビジネスではけっこう使える手ではあるんだけど。

*2:CATVなんかの「ベーシックチャンネル」のように、いくつかのサービスをまとめて格安で消費者に提供する有償サービス。