下請けいじめ防止ガイドラインは機能しない
報道によると総務省の勉強会で「下請けいじめ」を防止するための業界ガイドラインを決めたそうだ。でも、これは多分、ワークしない。
別に総務省が無力とか、テレビ局が悪いとかいうのではないよ。それは前提。
理由は、このルールの「形式性」が弱いからである。つまり、ガイドラインの決め方が悪いということだ。
おそらくは業界の実態やあるべき論とあわせようとしたのだろう、関係者はこのガイドラインの中で「不当に」とか「強要しない」とかいう基準を持ち出している。だが、これらは極めて主観的な判断基準で、おそらくは制作費を全部テレビ局に出してもらっても著作権は全部自分のものにしたいとすら思う制作会社と、逆にアイデアを全部制作会社に出させながら著作権は全部自分のものにしたいというテレビ局の間では、この基準の解釈が全くずれるだろう。「強要」というが、ビジネスにおける交渉過程で、付帯条件としてこういうものが出てこないことはありえないわけで、それを「強要」ととるか「(放送するか、制作委託するかの)判断条件の一つ」ととるかは、立場とか性格とかその日の気分によるだろう。人間ってそういうものなので、別にどちらの品性がどうとかいうのではない。
だから、このガイドラインでは、自主的な紛争の回避は多分あまり期待できない。
むしろ米国のフィンシンルール*1のように形式的に決めればよいのかもしれないが、それは業界の実情にはあわない。それはそれで弊害があるだろう。だから、この判断はそれでよいのかもしれない。
天秤は思うのだが、こうなると、実例に基づく判断を積み重ねてルールを明らかにしていきたいところだ。ま、そういう事案が表沙汰にならないのがコンテンツ業界だとわかった上での台詞だが。