Wikipediaのボランティア編集者が大減少!

 WSJによれば、Wikipediaの編集者がどんどん減少しているとか(CNET-US,Slashdot-US,Slashdot-JPのキャリー)。
 ネットの普及に伴って著作権がむしろ創造を束縛するという議論が起きた背景にあったのは、コンテンツ産業とコンテンツ創作行為の間の対立という考え方である。それ自体は当たり前のことだが、問題は従来コンテンツ産業しか意義ある情報を生み伝ええないという前提が崩れたことで、それを象徴するものの一つが辞書出版産業*1Wikipedia*2の関係性だった。ベストセラー「ウェブ進化論」はここに向こう側への信頼性を見いだす*3ことで、ウェブの進化を唱えることができた。
 そのWikipediaの編集者が大減少しているらしい。本年3月〜4月で、英語版の編集者では実に10万人中2万3千人が減少したそうだ。Slashdot日本版には、情報の確度維持や誹謗中傷の排除のため、書き込みが登録、管理されるようになり、誰でも気軽に書き込めて、執筆内容が必ずパブリックに届くという訳にいかなくなったことがその理由だと書いてある。つまりはWikipediaの成長、成熟が原因だということだ。
 Wikiという仕組みは長期的に本当に辞書産業を代替できるのか。著作権の将来的なイメージを左右する問題として、ウォッチしなくてはならない。

*1:知識を集約して利用可能にする産業

*2:広義にはWikiシステム全体を含むと言った方がいいかもしれない。つまりはユーザーが自発的に知識を集約して利用可能にする行為

*3:つまり、大人数の参加とある種の情報加工の仕組みそのものが、産業のメカニズムに匹敵する正確さを生み出すことができるという確信。