洒落で映画違法配信して10人一斉たい〜ほ

 洒落といってもshareのことで、逮捕というのは洒落ではない。Shareで映画を流していたお馬鹿さんが10人いっせいに逮捕されたらしい
 まず言っておくが、法は守るべきである。著作権法を無視して無許諾で映画を配信すれば、それはたい〜ほが当たり前だ。同情も、弁護もしない。
 だが、これに違和感を感じるのも事実だ。
 まず、なぜ刑事なのだろうか?著作権法によれば、同法第119条が規定する罪は親告罪であり、警察は侵害の事実や相手方を定めた通知を受けて動くのが原則だと思う。具体的な告発は権利者からあったのか、それとも漠然とした申立てだけで動いたのか?だったら、例えばストーカー被害などでも同じレベルの通報で動くか?まぁそれは置いておこう。捜査をする側には、それなりに捜査の優先順位を付ける裁量もあるのだろうから。
 ただ、こんなことに噛みつくのも理由がある。すなわち、海賊版対策の黄金律は「正規版なくして取締無し」であり、逆に「取締なくして正規版無し」というのは取締コストの無制限な拡大と消費者の利便の低下という最悪の結果を生むだけだからだ。具体的にどんな映画を配信したのかわからないので何とも言えないが、少なくともDVDは販売されていて、できれば適当な価格で配信されているコンテンツの違法送信可能化でなければ、こんな取締強化はある種の税金の無駄のようにも思える。
 で、ここでいう取締コストの無制限な拡大とは、見方を変えれば公的取締サービス関連予算の拡大というわけで、一部関係省庁*1からは歓迎されそうなことがらだというのが問題だ。
 繰り返すが、公的犯罪取締サービスにも税金はかかる。その効率的な使い方という観点からは、歯止めのかからない取締強化は考えものであることはいうまでもない。
 先日「仕分け」を傍聴していて、あらためて考えさせられたことがある。自戒を込めて言うが、私も含めた官僚組織は、目的達成のために効率的な仕事の仕方を真剣にデザインしなければならないことはもちろんである。なるべく予算を使わずに。使うならより効率的に。ある施策に導入した予算の多寡ではなく、それによって達成できた成果と投入予算の比率にこそ誇りを持つべきだと思う。これは鉄則ではなかろうか。それゆえ、コンテンツ産業政策を専門分野としてきた者としては、取締強化は産業界から適切に市場に投入されたコンテンツに限るべきだとも思う。
 諸氏はいかが思われるだろうか?

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*1:もちろん、天秤が奉職している経済産業省も含むのである。