サッダームはやっぱりタマじゃねぇなぁ

伝説の人、というのがある。

伝説は、話し手からも、聞き手からも、無限遠の位置にいる。伝説が往々にして過去形であるのは時間が伝説を無限遠に置くからだし、それが往々にして消えてしまった人であるのは、現在のその人からも伝説を無限遠に置くためだ。

ウサーマ・ビン・ラーディンは、正直、タマだと思っている。彼は逃げ続け、彼は人目から消え、ひょっとしたら死んでいて誰かがウサーマだと言っているだけになる。伝説は、伝説の主人公がそれを伝説にするのではなく、世間が、或いはその人以外の無数の話し手、聞き手が欲するが故に、伝説になるのだ。ウサーマは伝説になる。

でも、サッダームはタマではなかったようだ。生きて喋るサッダームは、米国を駆逐する軍隊や民集運動の先頭に立ってカムバックする以外の方法であれば、伝説にはならない。サッダームが象のように人知れず死して伝説になる道を選ばなかった辺りが、俗物の証明である。

ホント、俗物。残念でした。ウサーマ君に期待。