公的事業と私的事業と東京国際映画祭

 東京国際映画祭の事務局長をやっている。

 こういう仕事をしていると、公的事業の経営論ということを考える。

 そもそも、ある事業体が収入を得るための方法は3つある。
 顧客から。事業者内部で。スポンサーから。

 顧客から、というのは上策だと思う。
 スポンサーから、というのは次善の策だと思う。
 事業者内部で、特に協力者からというのは愚作だと思う。

 東京国際映画祭というのは、ブランド力のない公的事業だと思っている。公的事業は、他者への貢献を期待されている。他者への貢献ということで、協力者を募り事業としての質量両面の向上を狙い、まずはスポンサー収入を拡大する。同時に、上映で収益が上がる構造を構築し、将来的には上映増加でトントンか多少の収益が出る程度にする。いずれにしても、協力者からの収入を得ようという思考法自体に問題がある、と思う。
 そのために、公的資金が入っているのだ。それによって、単なる金銭収益論とは違う次元でのアライアンスモデルを期待されているのだ。そこが私的事業との違いだ。そこには国との取引がある。私的事業モデルを採用するのであれば、公的資金はその分だけ入らない。

 東京国際映画祭のことをもう少し、真面目に考えよう。

 そう考えた、誕生日の朝である。


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