日々是雑感

 よく知られていることだが、この境という現職・役人はノーネクタイで仕事をしている。という身からみると、今日から始まるというクールビズはなんと言うことはない。敢えて言えば、浮かなくなった*1というか、世の中が自分に近づいたというか、それより「あ、上着着ちゃいけないのね」*2って感じだけ。世の中、価値の生み方ってのはいろいろあるが、形をつけることが価値の表現の中心にある*3ような仕事の仕方はしたくない、って思う。心がけとしてはなのだけど。


話題、1。ヘイデン・クリスチャンセンが、「役者って違うな」と言い始めたという話。映画は商品だから、その一部としての役者は、部品として自分を殺さないといけないんだ!って叫んで、だから建築家になろうかといっているとか。ビックリするのは、映画がそういうものだと気づかないで映画やったんかい!ってこと。脊髄反射的にツッコミ入れたくなる。この台詞を見る限り、映画に「幻滅」して個人制作分野にいこうとする芸術志向の人達にありがちな反応なのだけど。でもね、問題は、これが映画がどうこうではなく、他人資本利用共働型制作の先製造後販売型ビジネスモデルの商品という形態に起因するかなり普遍的問題だということ。これは仕事を建築家に換えようと、請負で建て売り作るみたいな同様のケースでは同じことになるんだけどな。やっぱり映画で名前を上げて、そんな労働者的な仕事からおさらばする*4という戦略なんだろう。それはクリスチャンセンには許される報酬かもしれない。


話題、2。野村総研が頼まれもしないのにHDDレコーダーが広告ビジネスに与える影響は540億円なんて発表してくれちゃったりする。コンテンツ産業の本質はビジネスモデルにある。こんなことがおおっぴらになって、広告費が減ったりして、コンテンツ産業の重要な資金源が詰まったらどうするのよ!って言いたくなる。けど、まぁこの問題は誰がいつ「王様は裸だ」と言うかだけの問題だったので、「総合研究所」たる野村総研はやるべきことをやっただけ*5だから非難する気にならない。問題は、誰がどう王様に服を着せてあげるかだろう。あー、こんなの小役人的心配かもしれないなぁ。でも、やっぱり、問題は次のビジネスモデルなんだろう。


話題、3。また中山忍さんの新作CM*6が放送開始される。やはりこの清純さは製薬、トイレタリーなどにはピッタリだ。CMはもはや15秒の映像作品、商品、消費対象なわけで、ファンの僕としては中山忍さんが見れるだけで幸せである。言っておくが、コンテンツビジネスを見ている僕としては、かつて純名里沙さんを見れたことで嬉しくなってDo!クリアを常用歯磨きにしたように、今度も大正製薬に貢ぎ物をする*7ことは忘れないだろう*8。世の中は、お金の流れが血の流れなのである。それはコンテンツの世界でも変わらない。


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*1:むしろスーツ着ると浮くそうだ。ある部下、談。

*2:じつは、ノータイではあるが、けっこう上着は着ている。

*3:形だけつけると何とか意味あることのように逃げ切ったり、どうしてもキツければ「頑張っている」という叫びで、自分のバツを回避することがしやすくなる。

*4:要は、仕事を選ぶ、ということだ。

*5:総合研究所は、研究し、発表することがお仕事です。まぁ企業経営上の縛りはあるかもしれないけど。その意味では大学の方がフリーなんだよね。この研究を大学がしなかったのは、大学がビジネスからまだ遠いってことか?ってーと、たくさん生まれてきた「コンテンツ学科」はまだまだ機能してないってことかな。

*6:大正製薬のデントウェル2という歯ブラシである

*7:ということは、また洗面所のアイテムが替わるわけだ。

*8:ここら辺に対する配慮は、キララを死ぬほど買っていた原田知世ファンであった20年前から変わらない。