日々是雑感

 体調的にも、精神的にも不調の自覚あり。頑張らねば!と思うともう一段底を掘るので、適当なところでやろう。



話題、1。愛・地球博が終わった。これが黒字になるとは思わなかった。正直言って。まずは関係者のご努力をねぎらうと共に、自分の不明を恥じよう。友人が担当部局にいたので、時には「金は無いけどイベントは欲しい」などいろいろな相談をうけつつ、赤字損切りをどうするかなど真剣に議論したことが懐かしい。ショートショートフィルムフェスティバルEXPO2005など若干のお手伝いはしたものの、僕が勤める経産省が中心になって運営した事業ではあるが、僕自身の仕事からは距離感があった事業でやや他人事だった。緑のムック*1とか何とかいいながらモリゾーとキッコロ*2だけはよく使わせてもらったので、仕事としての距離感はあっても、妙に親近感だけはある。トヨタさんとか、パナさんとか、協力企業の皆さん、本当にごくろうさまでした。なんでも10億円とかなんとか黒字額について報道があったようだが、国や万博協会は、是非、ご協力頂いた各スポンサー、協力事業者の人にも気持ち程度でもよいから還元し、世の中への謝意を示して頂きたい。



話題、2。「いいとも」で不規則発言(笑)した男性が強制退場させられたそうだ。いやぁ、最初聞いたとき、「ロンパールームまんまやんけ!*3」と一人ツッコミを入れそうになったが、後で報道を見たら、ロンパールームにINSPIREされたと書いてあり、突っ込むより納得した。ただ、報道によれば「ご理解頂いた上でご退席いただいた」とあるが、理解されたなら自発的に黙るはずで、黙ると約束したなら退場まではさせないだろうと推測するので、ややこれは不自然に聞こえる。まぁその程度のことはどうでもいいので、久しぶりに大人版ロンパールームという香ばしいネタに会えて、少し幸せ。



話題、3。「INPIREされた」といえば、ひろゆき氏の出撃ラッパで「のまタコ」が出撃した*4ひろゆき氏らしい手法だが、僕はまったく個人的意見として、これを手法のひとつとして支持する。法政大・白田助教授が「(再創作の)自由圏」と呼び、僕が「再創作の無方式利用範囲」と考え、クリエイティブコモンズジャパン*5でも「派生創作限定ライセンス」として提案されていたものを如何にして実現するか。いろいろ考えるところはあるが、静的な制度ではなく、動的な事業でなくては実現できないのだろうかと思うこともある。「共用知確保事業」とでもいうのだろうか。ちょうど公共体が土地を購入して公園や入会地にするのと同じように、所有対象の「共用知化」をその存在目的とする主体が敢えてある対象のコンテンツを囲い込むことで、同様の効果を実現しようというものだ。これまでの同種の議論は、なにかと知的財産権制度を変更することに固執していたようだが、ちょうど共有地が私有財産制度に制限を加えなくても実現できているように、この手法なら知的財産権制度に手を加えなくても同種の目的を達成できる可能性はある。
 実は、これは一連の「のまネコのまタコ騒動」や、角川HD「NPO商標」騒動にINSPIREされたものだ。つまり、ポイントは、AVEXひろゆき氏は同じことをやっているにすぎないというところ。だから、AVEXが「のまネコ」を商標登録したことと、ひろゆき氏が「のまタコ」を商標登録したことから受ける印象の違い、あるいはその行為の意味の違いというのは、行為そのものの性質というよりも、囲い込んだ後の使い方、あるいは囲い込みの目的、ひいては主体が世の中から受けている信頼感に求められると思うのだ。もう一つの好例である角川HDの事案を見てみれば、角川HDはNPOを支援するためにNPOを商標として獲得したと言ったわけで、角川HDを信頼する人*6はこのメッセージを信頼してむしろ角川HDはNPOのガーディアンになろうとしているのだからさして騒がなくてもよいと思うのだが、逆に角川HDを信頼しない人*7はこれを極めて強く問題視するだろう。後はどちらが多いか、どちらの声が大きいか、ということである。AVEXの立場も角川HDと同じ。逆に、ひろゆき氏は、これまでの活動や、今回の経緯から、信頼をされているのではないかと思う。
 「共用知確保事業」のアイデアは、この事件におけるひろゆき氏にあたるものを作ろうよということなのだから、鍵を握るのは「共用知確保事業」の事業主体の設定の仕方だということだ。これをクリエイティブコミュニティから信頼されるものにするにはどうすればいいか、ということなのだ。だからね、もし万が一、まかり間違って将来、仮にこうした事業が政府機関や政府系機関の手で立ち上がるようになった場合には、ネットコミュニティは単なる反逆精神から誹ったりしないことをキボンヌ。



 やりたいことはたくさんあるが、知力、体力、時の運、すべてついてきていない。でも、なんかやり方を考えよう。やり方を考えよう。



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*1:CX系ポンキッキ(現・ポンキッキーズ)のマスコットキャラ。相棒にガチャピンがいる。昭和子供向け番組三大キャラといえば、このガチャピン&ムックと、ピンポンパンのカータンと、ロンパールームのニコちゃん&コマッタちゃんだと思う。ただ、人によっては、最後のニコちゃん&コマッタちゃんについては、同じロンパールームなら「熊のぬいぐるみ」であるべきだという人がいる・・・わけはないか。→話題、2に続く。

*2:そういえば、モリゾーは史上最も愛想のないマスコットキャラだと思っていたが、後で他人から聞いたところでは、最初はむっつりしていて、EXPOの開催にあわせてだんだん目がゆるみ、最後は笑うという設定だったと聞いて、納得した。確かに、愛知急迫会場でみたモリゾーは、笑っていた。

*3:昭和40年代の日本テレビ系子供番組「ロンパールーム」での一幕とされる事件。先生が「『き』で始まるものをいってみようか」と子供達に訊いたところ、一人が「きんたまー!」と発言し、場内が凍り付いた。機転を利かせた先生は、「もっときれいなものを言おうね」と諭したら、その子は「きれいなきんたまー!」と叫んだ。突如CMが始まり、CM終了後、その男の子がいたところに、熊のぬいぐるみが座っていた、というもの。はっきり言って僕もこれは見ておらず、ほとんど都市伝説の域に達している。

*4:これ以外にもたくさんリンクはあるので、http://search.yahoo.co.jp/bin/query?p=%A4%CE%A4%DE%A5%BF%A5%B3&fr=topなど参照して欲しい。

*5:中国語では「創作共用」というとか。「クリエイティブコモンズ」の直訳ですが、直訳どころか音表記全盛のアジアの中の音表記推進役の平成日本に住む身として、なんだかこの中国語表記には「明治の心意気」を感じて胸をえぐられた感があります。個人的には「共用知」というのが一番ピンとくるのですが。

*6:僕も一時お世話になったので、この「信頼する人」に入るのだが。

*7:そもそも営利企業なんて信頼できないという人もいるだろうし、商標登録なんてしなくても使えるのだから、登録するからには後で利用者に利用料とか、申し入れ義務づけとか、何らかの不自由をかけるに決まっていると思う人もいるだろう。