日々是雑感

 今は元気になってますが、息子が入院したりしてバタバタの一週間でした。二週間ぶりの更新で、ちょっと元気出していきまっしょい。



話題、1。仮面ライダー響鬼に、どこかでよく見たお姿(ここから「鬼の鎧」をクリック!)が・・・。あぁぁ、変身忍者嵐*1が登場!・・・と思ったら、初の女性「鬼」*2、朱鬼が変身前に来ていた強化スーツでした。



話題、2。村上世彰さんが阪神電鉄の株を買い集めて、阪神タイガースを上場させようと提案している件がとてもかまびすしいこと。僕は経済産業省という役所で今仕事をしているわけで、そこでコンテンツ産業の政策を担当していたことがいままでずっと響いているわけですが、実は、その基礎となる映画産業の研究を98年頃やっておられたのが、この村上世彰さんです。この映画産業の研究は、その後コンテンツ産業全体の二つの問題意識、コンテンツの生産業と流通業のパワーバランスの問題、そして資金調達の問題へと繋がっていきます。後者の文脈で、当然、アーティストファンドに代表されるファンからの資金集め=ウォームマネーの動員ということも導かれるわけです。コンテンツ産業理論の面から見て、個人投資家向けを謳って小口販売してくれるなら、阪神タイガース上場は上策です。何故なら、そもそもウォームマネー=金銭的利益以外のインセンティブにドライブされた投資家は、企業としては報酬を返しやすい投資家です。おまけに一口株主がごまんといる企業の買収はとてもしにくいから、敵対的買収に対する抑止策になります。おそらく事実上の最大の株主はファンクラブそのものになるのでしょうが、ファンが他人や他の地域の企業への売却を決めるなら、もうしょうがないですよね(笑)。世の中はだいたいのことが閉鎖系で、自分のケツは自分で拭かなしゃあないし、自分の食べるもんは自分でかせがなあかんわけです。阪神ファンを自認するなら、阪神を支えようくらいいわなならんのじゃないでしょうか?*3



話題、3。今度は楽天・三木谷さんがTBSの株を買って経営統合しようという。よろしいんじゃないでしょうか。まぁその道ですよね。ただ、論者がおっしゃるように、テレビ局という事業体のマインド、ビジネスモデルはIT系とは相当異なるので、単純に同じ気持ちでビジネスできるとは思わない方がよろしい。そこさえわきまえるのであれば、よい経営統合になるでしょう。AOLタイムワーナーの例を持ち出して批判する向きがまだいらっしゃるけど、ナローバンドにCATVというあの頃の米国と、光ファイバーLCDディスプレイデバイスという今の日本では、映像コンテンツ流通環境が決定的に異なるので、それは参考にならないでしょう。TBSが相変わらずの感情論を見せているのは面白いですが、困惑のレベルはライブドア・フジテレビ・ニッポン放送ケースほどではなく、これはTBSの社風なのか、社長の個性なのか、それとも業界的には2度目のパンチなので慣れてきたのか。いずれにしても、今回か、あるいは次当たりのチャレンジで、IT業界は地上波テレビ局を1,2社は自陣に引っ張り込めそうな気がします。根拠はないですけどね。



話題、4。さてさて、予想通りでてしまいました iPod Movie と呼びたくなる New iPod。「テレビの覇権の終わりの始まり」の日に、これを無邪気に伝えているテレビ局のニュースはとても面白かったです*4。だって、iPodがビデオ対応したということを口実に(これは言い過ぎ?)始まったiTunes6の動画本格対応とiTMSでの動画配信。これはコンテンツを好きな時間に好きなだけ見るという点で、DVR*5と同じ機能を持つわけで。確かに、DVRはテレビ放送を貯めて切り出すもの、iTunes6ソリューションは様々なコンテンツ配信を受けるプラットフォームと性質は違うのだけど。でも、いわゆる放送通信融合後のモデルと、むしろ、ビデオ・ポッドキャスティングはほぼ同じ構造を持つのだから、通信ベースの映像配信が増加することでテレビの影響力が相対化するとすれば、それはもう入り口まで来たと言うことだから。ま、それはそれとして、アップルは、これでデバイスコンピュータ(DCとでもいいましょうか)、パーソナルコンピュータの両方のドメインで、自分の居場所を確保し、同時に攻め方を明らかにしたような気がします。DCは、AV系を狙ってiPodブランドでいくのでしょう。PCは、ビジネス領域は捨てて、個人用を狙うのでしょう。どうせMacOSX for IntelにはシームレスにWindowsを統合させるソフトをMSが出してくるでしょうから、MacOSXGUIとして生きる道が残っている*6わけで、ビジネス的にはアップルとMSの両方が利益を得られるモデルができているわけです。その分ユーザーは$300くらいは余計に払わんといかんのでしょうが、まぁもう一台PCを買うことを考えたら、安いもんでしょうね。まったくいやらしいけど、Winマシン使うくらいなら、たとえインテルになってもMacOSXを俺は使うんだろうな・・・とあきらめている自分がいることがちょっと悲しい。



話題、5。そういえば、松下がJustに負けましたね。あれでよい。ただ難しいのは、知的財産って先行者利益を確保する方便じゃないですか*7。国という主体にこだわると、国際社会でキャッチアップしようとする国*8には知財を広範囲に適用したいですが、国内で同じ基準を採ると単に歴史ある大企業に既得権益をもたらすだけになるので、イノベーションが疎外されます。やはり、日本そのものがよいパフォーマンスをあげないと、所詮は停滞して、落伍していくわけですな。世の中うまくはいかないですね。



 話題はいっぱいあった一週間を無為に過ごして、日記書きとしては残念でした。会社からでも書き込めればよいと思うけど、現状では無理だよなぁ。
 でも、僕をご存じの方は納得されると思いますが、今日一番書きたかったこと、2週間の沈黙という怠惰のイナーシャを打ち破らせてくれたのは、突然日曜日の朝の平成ライダーに登場した変身忍者さまのお姿でありました。






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*1:昭和40年代の特撮番組。

*2:今年の仮面ライダー響鬼では、仮面ライダーではなく「鬼」という。もう仮面ライダーだかなんだかわかんないけど、まぁいいか

*3:テレビで、ある自称「阪神ファン」が、「俺はファンだが株なんか買いたくない」といっていたのがとても印象的で、すこし感情的になってしまいました。正直言って、「弱者」のふりをしてフリーライダーを決め込むこういう「一般市民」はとても問題です。

*4:木村太郎さんが「これがITのテレビだ。IT業界はテレビ局を買わずに、こういうことをやれ」といっていたのはとても印象的でした。どうも、テレビ業界の方々は、オーナーを変えてテレビがそのあり方を変えつつテレビ業界が引き続き発展することより、いまのテレビに外部者が入らずメディア間競争が起きて将来的にテレビが脇のメディアになってしまう(可能性ですが)のほうがよいと思っているのかもしれません。映画とテレビの交代劇に業界は何を学んでいるのでしょうか?

*5:デジタル・ビデオ・レコーダー。HDDレコーダのことは今後こう呼ぶことに業界的にはなってきたらしい。

*6:たとえアプリケーションは全てWin用に開発されて、MacOSX+新VirtualPCで初めて使い物になるように仮になったとしたら、MacOSXGUIなわけです。ただ、その方が使いやすいと言うことで皆がそう使うようになったら、Winは単なるAPIライブラリーなわけです。MacOSXGUIでWinAPIを使うって、とても合理的な解に見えるのは僕がマカーなだけでしょうか?

*7:知財の保護を迫る米国の外交官にむかって、ある中国の外交官が、「うちも紙の製法の特許をとっておけばよかった」といったというのは、その筋では有名な笑い話。

*8:今なら韓国とか中国とかですかね。