日々是雑感

仕事がたまっているのでブログどころではないと思いながら、書いてしまうのが我が身の不幸。元来組織人ではないのだから、これも性というものか。でも、話題は一つだけにしておこう。



話題、1。NTTとスカパー!が本格提携しそうだ。いわゆる「放送・通信融合」は、多分、3ステージあって*1、今は第一ステージ、つまり多チャンネル化のステージにいる。その中で、フリーハンドな中でも強いもの同士が組んだ、ということだ。
 でも、ここでただ一つ問題なのは、スカパー!CS放送における単一プラットフォーム的地位にあり、競争政策上、NTT一社との提携を許すべきかどうかだ。CSを束ねる*2スカパー!は最有力アグリゲータの地位にあり、アグリゲータとしてはJ-COMなども居るとはいえ、電話サービスにおいて伝送路を束ねていたNTTのような相当優位な立場にあるのではないか。NTTに対して接続命令を出したように、スカパー!に対して接続命令に相当するもの*3をだせないか、検討すべきではないか。KDDIYahoo!その他の事業者はJ-COMと組めとか、それじゃ数が足りないというなら、アグリゲータは特段参入規制があるわけでもないから作ればいいとかいうのだろうか。おそらくその役割は公正取引委員会なのではないかと思うが、NTTと合理的な範囲で同条件による契約をKDDIYahoo!その他の事業者が求めた場合、スカパー!(或いはその役割を果たす会社。例えば、この提携でスカパー!とNTTが作ろうとしている子会社)に拒否させないようにすべきではないかと、思う。
 もちろん、これは私見だ。


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*1:総務省の研究会だったか、では、「伝送路の融合」「企業体の融合」「サービスの融合」という感じの話がされていたと思います。コンテンツ産業的には、これは「単一流通網の出現」「異種メディア間コンテンツ事業体の融合」そして「双方向コンテンツの出現」という3段階になります。これをテレビという視点でだけいえば、「多チャンネル化の段階」「テレビ局のメディアグループ参加の段階」「コンテンツ双方向化の段階」となります。

*2:「束ねる」なんて面倒くさい言い方をしているのは、スカパー!放送法体系上登場する事業者ではないからだ。放送法体系上の整理は、衛星で放送してあげる事業者(受託放送事業者)と衛星で放送してもらう事業者(委託放送事業者)がいるだけで、スカパー!は単に委託放送事業者達にブランディングや課金代行などをする事業者であるに過ぎない。

*3:NTTは電気通信事業法上の事業許認可を受けており、同法に規定された命令を政府はNTTに出すことができる。これに対して、スカパー!はこうした法的地位にはないため、事業法上の命令は出し得ない。だからこんな回りくどい言い方になる。