日々是雑感(行く年来る年ブリッジバージョン)

ブログは今年最後の更新になるだろう。とりあえず、嫌な思いが多かった2005年は過ぎていこうとしている。でも、理解者の方々には様々に支援して頂けたことが、数少ない、それでもとても大きな喜びでした。来年は、どんな年になるんでしょうかね?
 では、来年に繋がる書き込み、レッツゴー!



話題、1。”AKIRAバイク”!ほしい! って、今更なんだけど、今年のn大ニュースなんて見ていたら、こんな記事に出会った。小生は、家の方針で「バイク禁止」だったの*1で、バイクにはそこはかとない見果てぬ憧憬がある。ただ、反応したのはそのできばえだけではなく、これが講談社の許可を得ていないということだ。さらに、許可が貰えるならもっと作り込みたいということだ。許可、してあげて〜。講談社さん*2



話題、2。あ、コミケがやっている。今年は冬コミ行けないかなぁ。実は、今やっている某研究会で、二次創作の自由圏を作ろうという運動を立ち上げようとしている。知的財産戦略本部のデジタルコンテンツWGが議論している戦略素案の素案13ページにも「再利用による創作活動促進のための制度の整備」ということが書いてあるが、この研究会の議論が部分的に採用されているものだと思う*3。なんでこんなことやってるかというと、そりゃVIPSTARとかSAZAESAN for iPodとか見ると、こういう名作を世の中で正々堂々活用したい*4ということだよ。話題1.の記事をみてもわかるように、やっぱ正々堂々作る人は、やましい状態では、打ち込んで、よいものを作ることにはためらいがある*5。やり方はいろいろあると思う(例えば、2ch生まれのコンテンツを利用する方法としては、「電車男」のやり方がモデルケースとなるのだろう。「のまタコ」の主張の中に度々「電車男」のケースが登場するところを見るとお、少なくともひろゆきはそう考えているようだ)が、それをはっきりさせ、それに従えば文句はないというルールをきちんと作らないといけない。だれからもインスパイアされてないクリエイタはいないし、誰にもインスパイアしない作品はない*6



話題、3。CESに参加するため年明け早々渡米するのだが、同じ頃サンフランシスコでやっているMacEXPOの方が気になる。2006年はIntel Macの登場により、パソコン草創期から続いてきた68系と80系、GUIMac)とCUIDOS)、RISCCISCというハードウェアアーキテクチャを巻き込んだ二項対立にけりがつく、感慨深い年だ。今後は、新たな二交代立、それをオープンソースと商品と考えるべきかどうか(ちなみに、MacOSXオープンソースである*7BSDDarwinをベースにしている)迷うところだが、一般ユーザとしては両者はソフトウェア環境の中で共存できるので、大した問題ではない。早晩、MSはIntelMac用のVirtualPCを発表するだろうし、それは従来以上にMacOSXにシームレスにビルドインされていて、使用者から見ればAPIを載せてMacOSXWindowsXP用ソフトを動かすようにするソフトと見えるだろう。言い方を変えれば、これまでIBMモトローラに払ってきたお布施をIntelに振り返るだけで、とても小さなお布施で、両方のせマシンがてにはいるということだ。これをApple+Microsoft+Intel三者連合と呼んでもよいだろう。面白くないけど、便利ではある。便利だが、面白くはない。パーソナルコンピュータという商品を巡る30年にわたるドラマは、終わった。



話題、4。年も押し迫った12月21日、「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」が発表されたが、これで来年は放送というコンテンツ産業の主要流通形態の一つに制度設計的な面から大きな見直しが起きることが明らかになっている。答申に関する逐一の感想はどちらかというと、小生のいちおう本業である政府職員としてのインナーの仕事になるのでここで書くことではないと思うが、ここで書いておきたいのは、こういう制度改革の時に大切なことは、時代感覚だということだ。詳しくはHotwiredで書こうと思うが、ここ数年のうちにDVRやiTunesで始まった「Playlist革命」は、「Playlist2.0」*8へと加速しながら流れ込んでいく。それを0.5歩先取できる制度をどう作れるか、それが関係の政策担当者の技量だと思う*9。年末年始のテレビガイドを見る限り、「編成時代」の花形産業だったテレビも、さまざまなアイボールコントロール手法には意識も及んでいるし基本的技術も習得しているので、潜在的にはPlaylist2.0時代を迎える準備はできていると思う。心配はない。民間企業はついてこれるし、飛躍できるはずだ。来年は、少し、面白くなる(かもしれない)。




 なんだか年明けから米国に行くことになり、年末というのにあわただしい。小生は、Playlist2.0時代を見据えて、真剣に自分を再設計する段階に入っている。来年は、境真良2.0を目指す。




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*1:なんでも、四輪車なら自分が死んだり、身体に障害を負うことは少ないが、バイクはちょっと転けただけですぐ死ぬ、障害が残る傷を負う、ということが理由であった。他人のことは考えていない理屈だなぁ(笑)。ある種、現実主義の家庭だった。

*2:もう許可してあげてたらゴメンなさい

*3:某研究会ではもうちょびっと突っ込んだ議論もしているが。

*4:本当はここで「正々堂々楽しみたい」と言いたいが、そういうと個人的趣味にとられかねないので、こんな言い方にした。いち消費者としての感覚を経済学的にある程度考察した結果なので、出発点が趣味であることくらいは見逃してほしい。

*5:後で訴訟だとか文句だとか言われたくないってこともあろうべさ。

*6:ちょっとこれは言い過ぎ。クソ作品にはインスパイアされないだろうな、普通は。

*7:オープンソースの定義にもいろいろあろうと思うのでそれをオープンソースと言うかどうかはオタッキーな問題として残るが。

*8:「2.0」というキーワードは、「オブジェクトの関係性がダイナミックに調整されること」と考えてよいのだと思う。従来のコンピュータは、「真理」に関心がある数学分野を基盤にしていたので、そのあり方もかなり静的だった(「真理」は静的なものだ)。しかし、コンピュータが実用化され、私たちの日常生活にツールとしてビルトインされるなかで、そのあり方は変わった。DLLとか、MacOSが発行と引用とか言い始めた頃には、その流れは決まっていた。本来リアルのシミュレーションから生まれたオブジェクト指向への傾斜も、この動きの大きな底流として、忘れてはならない。まぁ要するに、「2.0」というのは、コンピュータとは異質な、人間社会くさい流れだということを書いておきたかったのだ。

*9:こと中身がメディア自身に関することなので、報道や解説などの二次的情報が全く信用できない、というのが現場に弱いタイプの役人には厳しいところだ。