まったくわかりやすい国だなー、と思ったこと

 久しぶりにTBしてもらえたのでと辿ったら、mkusunokさんに「境に怒られた」とあった。あんまり記憶してないんだけどなー(笑)。多分、「できることと、やっていいことは違う」と思っているので、そういうことを言ったのだと思う。
 経済という仕組みでルールを作る場合、売春よりも、麻薬売買よりも、窃盗と詐欺の違法化が重大事項になる*1。一応、財物をくすねて誰かさんに売ることはできるのだけど、できるからといってやってはいけない。
 デジタルネットワーク環境というのもある種そういうことで、その上にやってはいけないことは、やはりできる。問題は、だからといって闇雲に現状に照らし合わせて「あれもだめ、これもだめ」といってやってはいけないことを乱発するのは芸がないということだ。そもそも守るべきもの、例えばコンテンツというものを措定した上で、ついでそのメカニズム、コンテンツならコンテンツ産業のエコシステムを解明して、その上で新たな禁止事項を置くという作業手順になると思う*2。デジタル環境の使い方も、そういうことに配慮すべきだと思っていて、「できるからやる、自由だマンセー」という若気の至り的態度には賛成できないんだな。もう三十半ばを超えたオッサンとしては。



なんてまじめなことはさておき、


 家族旅行で行った先の南総で目覚めて、テレビを付けると野球の話をしていない。これだけで、日韓戦は負けたということが一発でわかった。勝つと大騒ぎ、負けると知らんぷり。なんてわかりやすい国民なんだろう。まるで、エヴァンゲリオンの第一話と同じくらいわかりやすい。
 中国にいた頃、ワールドカップのアジア予選をやっていて、中国の負け試合になったと思ったら、とたんに中国人の観客は帰ってしまって、報道もとたんにされなくなったのを思い出す。確かに国威発揚愛国心、それなりに大事でしょう。でも、自分がいい気持ちになる瞬間を動物的に追い求めるような精神構造ではいかんよね。そして、それは日本でも同じなのだな。
 負け試合をかみしめ、反省するところは反省して、また次のために自分を鼓舞できる、そんな国になりたいと思ったWBCアジア予選最終戦の翌朝でした。



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*1:だから、仮に「経済中心主義社会の道徳」というのを想定すると、売春よりも窃盗と詐欺の方が悪いことになる。麻薬を買って金を払わなかったヤツを見たら、「麻薬じゃねぇか」と怒るよりも、「キチンと金払えよ」と怒ることになる。それが、今の僕らの一般常識というヤツに照らし合わせてどうかはしらないが、論理的にはそうなのだ。

*2:だから、著作権法を中心としたコンテンツに関するルール設定を直接デジタル環境に置き直すというやり方には賛成できないのだ。それは、そのルールの上で生まれた現状の産業のあり方に配慮するという以上に問題が多い考え方だ。