祝!コミックGUMBO創刊

 コミックGUMBO、というマンガ雑誌が発行された。
 なんと、日本発の定期刊行無料マンガ雑誌である。
 装丁、ボリュームはだいたい青年マンガ誌*1と同じ。
おまけに、ご丁寧に、グラビア付き!


 で、作家が意外によい。
 おそらく目玉は江川達也の「BOCCHAN 坊ちゃん」なんだろう。ただ、この号では前振りの数ページもので、本編は次までお預け。ま、これはご愛敬。
 「Y氏の隣人*2」の吉田ひろゆきが真ん中にいて、トリは「六三四の剣」の村上もとか。ほほう。
 しかし、だ。思わずうなったのはそのどれでもない。巻頭カラーが、板橋しゅうほうだったことだ。ふぅ〜む。通だねぇ。


 で、全体の感じ、特に中国作品を一つ入れていたり*3あたりも、思うんだが、何だか、ちょっと、う〜ん、ちょっとだけどね、コミックBUNCHと雰囲気が通じているところがあると思うんだ。
 ま、それはそれでよい。


 一番気になるのは、そのビジネスモデルですな。
 こういう場合、「広告モデル」ではないか、と普通は推測する。しかし、それにしては広告が少ない*4。資本金食いつぶしてもがんばって知名度を上げて、早く広告を集めよう、という作戦かもしれないけど、素人目に考えてもそれは事業リスクが高すぎる*5
 考えられるのは、これで最低限の収支平準化をしているのではないかということだ。
 現行のマンガビジネスでは、雑誌の原稿料は低く抑えられていて、収益の多くを単行本で回収しようとしている。出版社もそうだし、作家もそうだ。
 その中で、雑誌を販売することの収益性は十分検証されてこなかったのかもしれない。再販制度のもとでは返品リスクが出版社に帰されるため、GUMBOのような弱小雑誌ではいきなり冒頭から返品、在庫、赤字の山という可能性が高い。それよりも、どうせ無料なんだから配りきってしまえばその方が傷が小さい、そんな考えかもしれない。江川達也を除けば、作家はマイナーか、著名だが最近はヒット作がない作家なので、出版社としては多少強く出て、原稿料をさらに押さえ込めたのかもしれない*6


 現状では、真相は藪の中である。が、とりあえず前進はしている。
 でも、それにしてもその真相は是非知りたい。インタビューに行きたいなぁ〜



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*1:いろいろあろうが、ここではYoung××をイメージしている。

*2:「Y誌の隣人」と変換しそうになった。やべぇやべぇ。

*3:すまん。この作品、やっぱつまらん。何とかしてくれ!

*4:別件で偶然顔を合わせたK書店の某幹部も同じ感想を持っていたようだ。

*5:コンテンツ産業は、当たると信じて全力でやって、成功率は千三つ。ま、それは言い過ぎですが、計画通りヒットを生み出すというのはなかなか難しいので、投資(実働でやってる場合は「投資」とはいいませんが)先を分散してリスクヘッジをするわけです。この出版社はこれしかやってないみたいなんで、リスクヘッジのしようがない。

*6:吉田ひろゆき氏にいたっては、既発表作品を修正したものを掲載している。手間賃が減れば、それにかける手も減らすというものだ。