世の中はいろいろ進むんだ、これが。

メインマシンであるiMacG5の電源が逝ってしまったことは痛恨の極みだ。ソフマップを通じて修理に出したら、電源ユニットなのにHDD初期化を了承せんと受付けないとか、3〜4週間かかるとか、すごいことを言われてさらにショック。次のマシンからは絶対にアップルケアを直接買うぞと腹をきめたのでした。


・・・って、それじゃブログ更新の意味ないじゃん!!


今日は、お題を三つ書こう。




一つ。もう相当旧聞に属するのだが、津田大介さんや白田先生withロージナ茶会のみなさんなどがMIAU(インターネット先進ユーザーの会)を立ち上げた(HPはこちら)。私のようなブロードバンド後進ユーザには期待を込めて見守るしかないが、2000年頃から始まったコンテンツ制度革命の動きの中に、ついにジャコバン派が登場したなぁと感慨深い。
ここに至る一連の経緯の中で、津田さんの先鋭化はやはり特筆に値すると思う。正直、ITmediaなどでのコメントには驚いていた。と同時に、来るべき時が来たのかもしれないと、どこかで思っていたのは事実だ。私は、津田さんを先鋭化させた原因の一つは、彼を著作権分科会*1の委員にしながら建設的な意見を聞くどころか、根回し対象から外したその運営のやり方にあると感じている。もし違ってたら、ごめんけど(>津田さん)。
役人を永くやっていたので、審議会がプロデュースされた対立の場であることはわかっているつもりだ。津田さんもわかっていて委員を引き受けられたろうと思う。ただ、そうであれば、引き受けてもらった主催者側としては、もう少し運営のプロセスは透明にも、公正にもするべきだし、できたはずではないか。表向きの無風を成功と見る役人のセンスは現在の対立構造の中では通用しないし、かといってワンサイドゲーム見え見えの委員構成では正統性も外部から留保が付けられそうなご時世なのはその通りだが、だったら新しいやり方、恥(紛糾)を誇り(正々堂々やっている)と思い直して胸を張り、調整役に徹するという方法もあるのである。自分で委員を揃えておいてその「大勢」に押し切られるのは、不可抗力ではなく、そういうやつを集めたおまえが悪い!ということにしかならない。これでは、自分が少数派になるだろうことは覚悟の上で政府機関に一縷の期待をかけて協力してくれる有識者をだまし討ちにすることとも捉えられかねない。権威と良識の関係が捻れた時に、政治の季節がやってくる。来るべき時が来たのだろう。
別の見方もあるかもしれない。例えば、かつて再販制を見直すかどうかのパブコメを求めたところ、90ウンパーセントの高率で「見直し必要ない」の意見が寄せられた。文面はほとんど同じ。そういう意味では、すでにどちらかというと既得権益者と呼ばれるポジションの方々の手によって政治の季節の幕は開けられていたともいえるかもしれない。また、このジャコバン派の起源を、「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」に求める意見もあるだろう。いずれにせよ、ジャコバン派の登場は遅すぎたくらいだ。
僕は役人の多くが真面目に仕事に打ち込んでいることを信じて疑わないから、こういう言い方になるのだが、真面目さは仕事量で示すものではなく、真面目さは傷を負う覚悟で正々堂々を演じきってみせる心意気で示すものだと思う。自分のまわり1メートルを超えてもっと広い周囲を見て、やるべき仕事をもう一度設計してみないか?政治の季節は対決という祭りのシーズンだが、よく耳を傾ける政府というのもまたあってもよいものだ。まだ遅くはないよ。
そんな思いはいろいろあるのだが、とにかく、政治の季節の幕を開いた正統ジャコバン派の出現を僕は拍手で迎えたい。僕のような、落としどころを常に考えるジロンド派の出番ではもはやないかもしれない。ただし、コンテンツ産業の産業としてのあり方を中心に置きたいという思想信条に基づき、僕はジロンドという立場を誇りを持って堅持して、ジャコバンを見習いながら言うべきことを言うべき人に言うべき形で表現していこうと思う。時として共闘することがあれば、その時はよろしく。



一つ。ポルノコミック規制の話がまたでてきているのでせうか。ネタ元は、まいどのスラドジャパンで出たポルノコミックは規制されるべきかと、izaで出ていた都施設で過激エロマンガ販売 即売会規制強化への二つ。この議論にはとても注意が必要だと感じている*2。これを貫くテーマの一つは、マンガのような被害者が存在しないタイプの児童ポルノに対する態度というものがある。
 まず確認しておきたいのだが、現行法に関する議論として、これを直ちに違法とする規定は存在しない。法律の遵守を求めることが都としては当然だが、法律以上の価値観、たとえそれが倫理観であっても、それを押しつけることはできないだろう。法律によってのみ自由は制限されるという論理に立ち返るべきである。
 その上で、こうしたタイプのコンテンツに法規制をかけるべきかどうかである。結論として、法規制をかけるべきではないと考える。単純だ。被害者がいない。実写の児童ポルノとは大違いである。実写であれば個人的には単純所持さえ禁止してよいと僕は考えている*3。両者は同列には論じられない。たとえ「私はどっちも同じように倫理観を逆なでされる」という人がいたとしても、それはあくまであなたの心情の問題で、無視するか、非難するかしていてよい。もちろん、アクセスコントロールなどの議論はあってもよいのだが、単純にご禁制品にするには、単なる多数決論理だけでは論拠として弱いと思う。



一つ。ミコット・アンド・バサラが「ベクシル」で初めてインセンティブシステムを導入したぞという記事があった*4インセンティブ契約は他にも例があるとは思うが、業界内であまり普及していないことは間違いない。テレビコンテンツの場合は収入キャップが決まっているからインセンティブの出しようがない*5が、製作委員会は権利の事前販売なので、本来、リスクはあっても超過収入が期待できるはずの事業を、ローリスクで収入上限があるビジネスに変えてしまうから、けっきょくインセンティブの出しようはなくなってしまう。
本来は、それを乗り越えて、リスクをとってファイナンスしてなんぼでしょう、という理屈はよくわかる。そうであるがゆえに、第一例かどうかはべつにして、ミコット・アンド・バサラの挑戦は拍手を持って迎えたい。



 疲れていても、眠くても、更新するといいことがある。といいな、と思いつつ、更新することがとりあえず前進。





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*1:正式には文化審議会著作権分科会法制度小委員会

*2:って、ネタをばらせば、これに近い話で昨晩、東浩紀と盛り上がったんで書いているんだけど。

*3:この点で、東さんとはへべれけになりながらやりあっていたんだが。

*4:ニュースソースを忘れた。見つけたら、後で追加します。

*5:インセンティブは期待以上の収入が上がった場合の収入分配契約にするのが企業経営上常道だから。