著作権に関する結論めいたこと#結論(1)

 どうせシンポジウムで言っちゃったし、ということで、この結論のエッセンスというかアウトラインは「テレビ進化論」の最後の方でも触れました。ですから、積み上げ式での議論を読みたい方は、そっちを参照してください。このブログでは、面倒くさいので、結論から先に説明していこうと思います。


 僕が提案したいのは、インターネット空間におけるコンテンツの利用を、新しい利用調整金制度で賄うという考え方です。この制度は集中課金・配分システムなので、予めシステムに参加してもらわないと調整金の配分ができません。これは任意の登録制度で行います。
 登録の段階で、規約としてコンテンツに関する著作権を調整します。まず、大前提として、登録によりネット上での単純利用は許諾が不要となります。また、再創作への利用行為もこれを許諾不要とします。ただし、著しく創作者の人格を毀損するような再創作については、創作者及び著作者の許諾を得るべきものとします。これらはいずれもネット上だけの効果であり、デジタル・アナログを問わず、ネット上以外での公表行為については、単純利用は一律に許諾が必要、再創作利用の場合は大規模公開(具体的な基準値は公開方法毎に定めます)の場合のみ許諾が必要とします。
 財源は、キャリア及びISPなど*1から徴収する調整金に依存します。基本的にアカウント一つあたりいくらというもので、おそらくはユーザーの月々の支払に還元されると思います。ただし、それでユーザーは登録されたコンテンツの自由な利用が保証されることになるので、社会契約としてそれほど不合理ではないと思います。また、キャリアやISPはコンテンツの受益者なので、そこから上納金をとることもさして不合理ではないでしょう。
 なお、この調整金は、登録されたコンテンツの利用実績(主として参照・ダウンロード回数)に従って分配されることとします。その捕捉、及び不正行為(ログを上昇させるための意図的なダウンロードなど)の取締のため、利用状況はシステムが調べることとします。
 配分は、システムが登録したコンテンツの「管理者」に対して行います。規約にはいちおうコンテンツ毎に利益配分規定を書き込んでおきますが、これは任意規定で、登録時に配分法を登録しておけばそちらの方が優先されます。登録された配分法は、裁判所など特別な相手を除き、第三者には開示されません。あくまで法的安定性を担保するためだけのものです。


 これまでの境の説を知っていた人にとっては、従来の「二階建て」の提案と大して変わってないんじゃないか、と思われるかもしれません。実は、半年悩んで大きく変えたのは、課徴金制度の導入です。
 さて、なんでこうしたかを、明日、説明します。



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*1:情報通信法で規定されるようなコンテンツ事業者も課徴金対象に含めるかどうかは、議論の余地があります