秋葉原通り魔事件について

 秋葉原にお世話になって四半世紀以上になる。その間に、安くて美味かった食堂付きの青物市場は更地になり、そして今や大きなビルが立った。家電から電子部品へ、パソコンへ、ソフトへ、そしてメイドへと商品も増えていった。でも、そこは、懐が広い秋葉原だった。
 通り魔という、わずか数分間の間の連続殺人事件が起きた。
 子供がいるため土日には秋葉原に行かなくなった自分は、その事件を地元の祭りの日に知った。

 無性に哀しい。

 しかし、秋葉原は負けてはならない。と、僕は思う。
 秋葉原は、自治の都である。無力感に負けて、警察機構に過度に頼り、取締の網の目の上に、虚構の自由を作ってはならない。

 真の自由とは、そこに集う人々が自ら支えるものである。
 秋葉原の治安は、自治・自警が原則であり、官憲によって維持されるものであってはならないように思う。

 そして、私たちの力で、自由な空間としての秋葉原を維持したい。
 秋葉原が警察という権威による秩序の上でゆるされた自由に縮こまる街になることは、犠牲になった彼ら、彼女らとて望んではいまい。
 そこに縁ある者として、僕に何ができるのかを考えたい。