iSummit2008(表バージョン)の話

 iSummit2008に参加してきました。「自由文化と著作権政策」ということで、ブリッジング法制である二階建ての話をしてきたのだけど、そんなことは今日はどうでもよい。ものすごく印象に残っているのは、田村先生の「フェアユースとは、著作権制度の調整を、(政治的)ロビイイングのターゲットとなりやすい行政・政治から、それに比較的耐性がある司法へと移す戦略である」というメッセージ。
 2001年からコンテンツ産業政策の現場を見てきた者として、確かに政治的ロビイイングの弊害は増しているという感覚を持っていたので、極めて得心がいくご説明でした。なるほど。
 もちろん、MYUTA事件判決のような、法文の表面だけ撫でて答えを出すような*1裁判官もいるわけで、司法の場に移せば問題が解決するわけではない。また、これは二階建て論の弊害ともいえようが、ロビイイングによって著作権法外に爆弾を仕込むこともできる*2
 しかし、フェアユースを導入すべきではないかという意見には、以前にも増して傾いたところである。

*1:その一方で、「ゲーム=映画」だけど「ゲームには頒布権ない」という、頒布権の存在理由に踏み込んで判決を出すような裁判官もいる。まぁ、世の中そんなもんだ。

*2:法律の効果は互いに影響しあって一つの仕組みになっているので、けして著作権法にだけフォーカスしてはいけないのだよね。