崖の上のポニョ

 ポ〜ニョ ポ〜ニョ ポニョ さかなの子〜♪
 ってわけで、とりあえずこの夏の主題歌商戦では間違いなく一位の作品である*1。息子も歌っているし、札幌では僕まで学生と絶叫した。
 で、作品についてはいろんな人が書いているからノーコメント。
 ただ、この作品で最も見るべき点のひとつは、エンドロールだということはここで指摘しておきたい。ネタバレになったら申し訳ない*2が、エンドロールは個人名、法人名それぞれ五十音順で名前が羅列されているだけの、ものすごい無構造なものになっている。名前は手書き風下手文字で書かれていて、その前にそれぞれに固有の小さなかわいいアイコンがついている。
 これがハリウッドでは実現できないものだということは、彼の国のギルド間協定に詳しい人なら容易に想像できる*3。こんなエンドロールを作ったら協定違反になりかねない。
 それ以上に感じ入ったのは、そこにとても可愛く「氏家斉一郎」の名があったことだ。もう一人のナベツネとも言われる業界の強面の名前が、かわいい文字で、♪ポ〜ニョポ〜ニョポニョという歌を背景に小さく踊る。このミスマッチ。大笑いだ。
 だが、これは推測なのだが、氏家氏はこれを心から喜んで眺めているのではないだろうか。強面で、独裁者的なオジサンこそ、自分がみんなと同じように小さく、可愛く扱われることを喜ぶ。そんなものだ。なんだか心がほわぁっとする話だが。

*1:そういえば、作品としてはさんざんの出来だった「ゲド戦記」でも、主題歌「テルーの歌」はよかった。いや、別に25年来の谷山浩子ファンだからではなくて、本当に。ジブリのプロモーション戦略で、実は一番コンテンツ価値が上がるのは主題歌なのかもしれない。そういえば、歌詞で盗作騒動があったが、ありゃべつに谷山さんの責任じゃないからまぁいいか。

*2:エンドロールの書式がネタバレになるとは、どういう視点で作品を見ているヤツなんだ?

*3:そもそもスタッフにとってエンドロールでの位置は、自らの働きに対する証明書の役割を持つ、ビジネス的に重要なものである。スタッフの「昇進」は、エンドロールの位置の「上昇」であるといっても過言ではない。だからこそ、その位置づけはギルド間の協定の対象にもなっているのだ。