テレビの次

2ch実況スレと24時間テレビに見る「共有体験」の復活(江口靖二のテレビの未来)という記事を見た。その通り。
「テレビの次」とは拙著でのキーワードだが、それはテレビが消費者の体験そのもののハブとして機能していることをいう。最近ではITを使ってそれをやるソリューションがしばしば語られている*1が、何といってもその核を為すのは生放送である。それは皇太子御成婚フィーバーの昔から変わらない。
ただ、生放送でムーブメントを起こすというのは言うほど簡単なことではない。そもそも観客がテレビに注視するような状態は、最初から何か起きると分かっているか、或いは長い間そのイベントが持続していなければならない。そうでなければ、どんなに面白いコンテンツでも観客が見ることはないだろう。
そうしたものとしてテレビ業界は近年スポーツ映像に注目してきた。ところが、最近ではイベント主催側もよく分かっていて「放送権」というものと設定する。注目が集まると放送権が値上がりし、結局あまり儲かる話ではなくなる。
だからこそ、テレビ局は自ら胴元になってイベントを行う。日テレの24時間テレビしかり、フジテレビの27時間テレビしかり。おそらく日テレ24時間テレビ先行者であったニッポン放送ラジオチャリティミュージックソン*2の時はそうでもなかったんだろうが、テレビがこれを引き継いでからどうも雰囲気が変わってきた。
だが、こういう番組作りはとてもコストがかかる。これで24時間365日埋めろといっても無理だし、おそらく観客も食傷気味になるだろう。
確かにこういう「共有」はテレビの将来像なのだが、それをテレビ局に産業の核として自主開発せい!といっても限界があるのだ。だから、正しいが、産業の救世主ではない。よね。

*1:「テレビ進化論」の中でもRFIDFeLicaを使ったやり方を提案したが、まぁアレはある種のお約束である。

*2:現在も続く、ニッポン放送のクリスマス特番の24時間放送である。広く知られているように、24時間テレビはこの企画に大きくインスパイアされている。メインパーソナリティとして萩本欽一をこちらから引っ張っちゃったくらい、リスペクトしている。パクリ?・・・ノー・コ・メ・ン・ト♪