天秤的「web3.0」の解釈

NBonline掲載の伊東乾「常識の源流探訪」の中で、「崖っぷちの広告代理店ポリティクス」という記事があって、面白かったのですよ。全体はさておき、その中で<「メディア露出」∝「狙った効果」>という公式が成立しないというところがね。
ただ、本当に<「メディア露出」∝「狙った効果」>という公式は崩れたのか?
この公式を個人に還元して解釈すると<「受信情報量」∝「狙われた効果」>となります。天秤は思うのですが、この個人版公式は崩れていない。
単にメディア環境が競争的になり、そこにハイパーリンクやキーワード+検索エンジンといったリンク*1が導入された。するとそれぞれが「自分の空間」をもつようになり、単層的マスメディアが分裂した。と、まぁそれで伊藤さんがいう公式崩壊になったと。
このことは、いわゆるweb1.0web2.0の話とパラレルに読むことができます。ウェブ空間上に生まれた単層的メディアとしてのweb1.0と、利用者毎に自動生成する仕組みと利用者の入力を自動生成用素材として組み込む仕組みで生まれたweb2.0と。
最近のコンテンツ業界では、この2.0ってヤツはもう先がないよなぁと思われている節があります。特に重要なことは、2.0ってやつは顧客増のスピードと事業コスト増のスピードがうまく合わない。顧客増のためには顧客からの収入はとれないため「ビジネスモデルずらし」(())をせざるを得ないわけですが、この収益源はあるしきい値を越えないと全然伸びません。そこで事業コスト増を呑み込みながら、臥薪嘗胆、頑張って、いつかそのしきい値を越えればならない。ところが、だいたいこれが越えられない。
むしろ注目されているのは、いわゆるミドルメディアというやつで、あくまで2.0的なメカニズムをもちながら、そこに人力での加工を加え、コンテンツ製作プロセスを加えて、商品価値をつける。J-CASTさんがその代表でしょうか。
っつーことで、ちょっと調べてみたんですが、「web3.0」という言葉は、そりゃぁ山のようにあって、びっくり。で、何なんですが、いちおうこういう進化を天秤は「web3.0」とよぼうか、と。
で、このweb3.0はなぜ3.0か。いわく、「web3.0=web1.5×2=(web1.0web2.0の間)×2(倍の効果)」ということでいかがか、と。
まぁ単に言いたかったことは、俯瞰的な視野での広告学の公式は壊れても、個人の視野での広告学の公式はまだ壊れていないんだ、ということね。うん。

*1:本当は「ハイパーリンク」ってこの呼称に使いたいんだけど、すでに確立した別の意味がある。(そう言う意味では、いわゆる「ハイパーリンク」って、今では単なる「ドキュメントリンク」って言ってもいいよね)、とりあえず、「スーパーリンク」って呼んでいい?それとも、バズワードちっくに「セマンテックリンク」って言おうか?