角川がYouTubeから得た1000万円は高いか安いか

 anime!anime!が報じているのだが、角川グループがYouTubeから1000万円/月の広告費を得られるようになったという。まさにご同慶の至りなのだが、さて、これは高いか安いか。
 公開しているアニメ作品*1の量を考えると、その総収入がこれでは、安い。安すぎる。全くだめだ。
 だが、実はこれがあまりダメでもないという見方もある。それは今のマニア向けアニメのビジネスモデルのせいだ。
 今のマニア向けアニメのビジネスモデルは、放送(公開視聴といってもいいか)では全く収入が発生せず、それどころかテレビ局に広告費を払っている*2くらいだ。収入は関連グッズやDVD販売収入ということになる。
 もし、YouTubeでの公開がテレビ放送に取って代わるものであるなら、この1000万円は偉大なる収入である。すばらしい。
 だが、もしこのYouTubeでの収入がDVD販売収入と競合するものなら、この1000万円とこれによって発生するDVD販売収入減とを比較する必要がある。もっとも、ここしばらくはDVD販売収入が大きく下落しているので、それがYouTubeや他の動画共有サイト、或いはP2Pソフトのせいかどうかはよくわからないから、とりあえず1000万円でも嬉しいということかもしれないが。
 YouTubeがテレビ放送に代わる効果を持ち、DVD販売収入には中立か正の相関を持ちますことをお祈りします。心からお祈りします。祈るだけですが。





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*1:もちろんアニメ以外の作品も出しているかもしれないが、たいがいがアニメだろうから、アニメと考える。

*2:これは正しい表現ではない。正確には、広告スポンサーを紹介して、というのが正しい。ただし、この広告スポンサーはしばしば製作委員会のメンバーであり、それが広告費を支払うことを条件に放送行為が発生するのであれば、その広告費は製作委員会がそのプロジェクトのために支払う金=(広義の)制作費の一部であるといえるから、こういう言い方もあながち間違いではない。