マジコンの規制は正しいと思う。

 いろいろ報道があるけれど、マジコンの販売が東京地裁によって禁止された。
 被告側の言い分にも一理あるかもしれない。しかし、世の中にはPCという、実行するソフトウェアに何も限定をかけない機器もあるわけで、DSで自作ソフトをプレイするというのはかなり不自然に感じる。PC*1とそれ以外の機器という区分は、これからかなり重要な意味を持つと思う。両者には全く違った事業上のエコシステムがあり、そしてそれらは全体として相互補完的である。そのどちらを全く否定することもできないと天秤は考える。どちらがどの程度売れて、使われるかは、まさに市場の選択である。
 そう考えると、それぞれのビジネスシステムを破壊することは、法的に保護すべきことがらではない。だから、天秤は、マジコンの販売を規制するという結論において、まずこの判決は正しいと思う。
 加えて、天秤にとって得心がいったことは、その理由が不正競争防止法であったことだ。コンテンツ産業がらみの事案では、しばしば著作権法が訴訟に用いられるが、天秤はそれをやや冷ややかに見ている。かつて「肖像権」の議論をしたときにも感じたのだが、どうも「権利」という言葉や考え方をコンテンツ業界では、感情的に好む傾向がないだろうか?しかし、その結果、著作権法には過ぎた要求をして、むしろ敗訴する結果もなしとはしない。
 ビジネスとビジネスの争いの一般法は、天秤は、むしろ不正競争防止法だと考えている。いや、著作権法は実質的にその特別法にすぎないかもしれない。
 コンテンツ産業の間の調整にも、著作権法ではなく、不正競争防止法の活用*2が考えられてよい。

*1:天秤は、PCを「消費者があらゆるソフトウェアを自由に実行できるコンピュータシステム」と定義している。

*2:その拡充も含む