大きな組織だと改革が難しいのなら

 いつもはTwitterを使うのですが、これは大事なことなのでブログの方に書いておきたいと思います。

 お題は「アップルは既存技術組み合わせ製品化、ファブレスで組み立て、カルチャーの香りでファン増殖戦略だから、他メーカーの追い上げに悩まされることは必然。日本メーカーも、そろそろ目覚めてほしい。」という問いに、小生が「わかってできない日本メーカー」と答えた理由です。

 端的に言うと、日本の家電メーカーは自身の企業戦略を変えようと思っていないから、というのが答えです。
 どんな企業も「生き残る」ために新たな手を打ちます。ただ、問題は「生き残る」とはどういうことかということです。資本家の目から見れば、同じ資本の下にある事業の連続対が継続すればいいわけで、極端なことをいうと商品も入れ替わり、人的構成も入れ替わり、名前も変わっても構わないということになります。けれども、小生の見る限り、日本の家電メーカーはこういう割り切りを持っていない。その結果として、商品も変えず、人的構成も変えず、名前(ブランド)も変えずに頑張りたいと思っているようです。その結果として、戦略の自由度が低くなります。だからアップルのような戦略には曲がれないのです。アップル型戦略をとるには人的構成も変えなくてはならないし、商品レイヤーも変えなくてはならない(その内数として既存工場の放棄=レイオフという鬼門にもぶち当たりかねない)し、ブランドだって変えなくてはならないかもしれない(ブランド無しでやってきた経験はないでしょうし)。

 もちろん、これはちょっと言い過ぎで、大胆な戦略の転換をしようとする人もいます。
 こういう方々の貴重な試みは、しかし、本体を温存しつつ行われるので「新規事業」となります。そして、会社の資源も充分に配分されず、さらに他の事業との「絡み」で様々な縛りを科せられ、オマケにその人達は、その新しい変革で、既存の会社全体を救うような未来を約束することを迫られるわけです。まあ、(かなり嘘をつかないとw)あり得ないです。

 小生の感ずるところ、日本の家電メーカーは、新しいアクションには経営側の管理が極めて厳しい。それでいて、従来路線を続けるという判断には、圧倒的に甘い。

 なんだか、日本の家電メーカーに残された改革の選択肢は外国事業者との深い融合であるような気がしてくるほどです。産業革新機構が発行した社債を日銀が大量に買い取り(円を増発して)、それでパナソニックサムスン電子を買収させて、新会社のCEOにイ・ゴンヒを迎えたいくらいですw。本社だけ東京に移せばいいでしょw

 それか、一度、既存の事業部毎に完全分割してほしい。「シナジー」とか「連携」とかは同系他部門からの戦略干渉を正当化し、頑張りたい部門の戦略的オプションを減らす悪魔のような言葉なので、そんなものなくていい。その上で、ダウンサイジングされて、身軽になったチームの中から成長株が生まれればいいと思います。
 他は消えればいい(そんなに簡単に消えないですって)。

 その際、仕事がなくなる部門が出るかもしれませんし、身軽になっていいというなら工場とかが閉鎖され製造業雇用が減るかもしれませんが、それでいいじゃないですか。お役人の顔を見て仕事するより、商品やサービスを買ってくれるお客の顔を見る方が健全ですよ。それに、製造業雇用がサービス業雇用より「悪い」ということは全くの偏見で、正直、そういう見解には同意できませんな。

 と思っている次第です。

 けっこう、本気ですよ。


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